所  信

 

公益社団法人新庄青年会議所第50代理事長 髙橋 学

 

 

 

はじめに

 

  1949年、戦後間もない混乱期の中、明るい豊かな社会の実現を理想とし、責任感と情熱をもった青年有志により日本の青年会議所(JC)運動は始まりまし た。その想いは全国各地に飛び火し、そして1964年、この地に集う経済人、企業家の発起に加え山形青年会議所のご尽力の元、翌年7月24日に新庄青年会 議が発足を致しました。県内では3番目、全国で299番目の認証を受け、新庄を中心に近隣7町村を活動エリアとした広域LOMとして誕生致します。 1979年に社団法人格を取得、そして2008年公益法人制度改革3法施工に伴い2012年11月公益社団法人への移行を経て本年、設立より半世紀、50 年の節目を迎える運びとなりました。これも偏に地域の皆様のご協力と先輩諸兄のご支援ご指導の賜物と感謝並びに敬意を表する次第でございます。 さて、設立以来永きに亘り同じ志を持つ青年経済人が明るい豊かな社会の実現を目標にここ新庄もがみで様々な活動を展開して参りました。「我等が街を良くす るために我らが率先して礎を創る」そんな想いで先輩諸兄を始め現会員も行動を興しています。時代その時のニーズに応えながらも様々な問題と向き合い、議論 し変革を成してゆくその姿勢行動こそが我ら青年会議所(JC)運動の本質であります。よりよい社会づくりをめざし、ボランティアや行政改革等の社会的課題 に積極的に取り組み、更には公益性に富んだ事業を展開する事が新庄青年会議所に課せられた役目使命と思い日々邁進していきましょう。

 

環境と恩恵

 

  突き抜ける青空、照り返す太陽。埃と土に塗れ汗を拭い遊んだ遠い記憶。皆さんも思い返すことのできる少年時代の記憶です。私の記憶の中に鮮明に思い出され ます。大勢の子供たちが一緒になって笑ったり叫んだり燥いだりしている様子。思い返すと5つも6つも年の離れた子供たちが一緒になって遊んだあの記憶がと ても懐かしく、そして楽しくさえも感じます。現在、多種多様の情報が飛び交う時代の中、今に住む子供たちにとっては然程興味の無い昔話であり、時代の隔た りを感じる事なのかもしれません。 「川遊びはしてはいけない。」「夜道は出かけてはいけない。」時代が違えば生活環境も子供たちの考えも変わります。勿論親の教えも変わるでしょう。しか し、時代の変化だけで子供の生活すべてが変えられる訳ではありません。現代と違い確かに危険な場所も沢山ありました。挙げれば限がありませんが、其処では 年長者が年少者を教え支え、時には叱り、また近所には様々な教えを頂ける大人達が大勢居りました。親、先生以外の方から世の中のルールや仕組みを教えて頂 ける環境が近くにありました。 大人として、子を持つ親世代として、我々がこの地域を担う次代の子供たちへ残さなければいけない事は、多くの知恵であり、自然であり、そして経験でありま す。そしてその中の多くは以前私たちへ残して頂いた事でもありました。これから社会に出て現代の中で暮らす子供たちにとって、二度と無い大切な成長期によ り多くの気付き学びを与えられる環境、そしてこの新庄もがみに住まう子供たちと同じく我々も地域(ここ)で育つ感謝を共有できるそんな事業を展開したく思 います。

 

人材と人財

 

 政権交代から早1年が経ち、俄かに経済復興の兆しが所々に見え始めま した。日銀による全国企業短期経済観測調査では、昨年度からの大幅なポイント上昇に加えリーマン・ショック以前の水準まで持ち直したとの報道が様々な媒体 を通じて伝えられています。2020年には東京の地にてオリンピック・パラリンピックの招致が決定し、明るい報道を聞く機会が多くなったように思えます。 今後とも一層加速した景気回復が期待されます。しかし、ここ新庄もがみを見渡すと雇用問題は改善傾向に向かってはいるものの、全体的にまだまだ景気回復と は言い難く、まだまだ不安定な時期とも云えると思います。  では、この地域の景気安定を期待するのならば、今必要とするものは何なのでしょうか。政策、雇用対策、インフラ整備など確かに重要なことは沢山ありま す。また行政に頼り切りにならず民間での企業努力、個人の努力も必要でしょう。しかし全てに云えることは人が考え、人が作り、人が興していく事なのです。 私たちがこの地域に住まうjayceeとして何が出来るのかを考えるのなら、地域にとって頼りになる、そして頼られる人材と成れる様、自己を磨き努力をす ることこそ明るい豊かな社会の実現に近づく標となるのではないでしょうか。ここに位置する私たち青年経済人がそして我等青年会議所会員がこの地域の行く末 を担っていると感じ行動を興して行くことが最も重要なのです。

 

感謝する心と躍動する魂の進化

 

  本年新庄青年会議所は創立より50年の節目を迎える運びとなりました。これも偏に地域の皆様のご協力と、これまで築き上げて来られた先輩諸兄のご支援の賜 物と思い只々感謝しかありません。そして、県内外各地で同じ志を持ち活動をする多くの仲間の存在を忘れてはなりません。是非、この節目の年に私たちは多く の歴史と精神を学び、関わり持つ全ての方への感謝をしていきましょう。 では、50年の永きに亘り受け継がれたJCの思想はこの地域にどれ程浸透できたでしょうか。設立当時の経済情勢は高度経済成長のどまんなかであり、そして ここ新庄もがみでも地域人口が約11万人と大変賑やかで力に満ち溢れた時代でありました。それから安定成長期(バブル)を越え平成不況へと時代は変化をし ていきます。その時代時代で真摯に取り組まれたJCの事業は勇壮で逞しく、時には知的で繊細であった多くの事業が、この地域にとってまさに必要な事だった のだろうと私は信じて疑いません。そして多くの経験は今後の挑戦に決して裏切ることなく繋がっていきます。長きに亘る年月を経て、幾かの障害を乗り越え、 一歩一歩歩みを止める事無く進んできたこの50年へ一つの区切りと、そして新たな出発を祈念し、感謝と希望溢れた記念事業を展開していきます。

 

同志

 

 この地域に志を同じくする青年たちよ。立ち上がれ。

  私は2004年にJCの扉を叩きました。入会まもなく委員会の配属が決まり、右も左も前も後も解らなかったあの時、俺に付いて来いと言わぬばかりの背中を 見せられ、そして私の背中を押して頂いたあの頃から早10年、様々な事業を通し他では経験する事の無い多くの知識を学ばせて頂きました。そして、多くの方 と知り合う事が出来たのもここ青年会議所の活動其の物と言えるでしょう。私は人が大好きです。今40歳を迎えようとするこの年に私がこの会に残していける 事と言えば、この会の一番大事な事、出会いを通して培うことのできる友情しかありません。強いて言えば事業も団体もそこに人が居なければ成り立ちません。 志を同じくする同志が其処にいて初めて成り立つのです。多くの出会いをし、多くの挫折と経験を積み重ねそして分かち合うその同志が一番親愛なのです。多く の経験を持てば地域や企業に還元されるでしょう。多くの友情を持てばその一つひとつの事業にゆとりが生まれます。全会員36名のすべてに共有する友情が存 在したのならばそれは素晴らしい財産となりえます。まだ見ぬ友情を求めて我等新庄青年会議所活動を多くの方に発信し、理解をいただき同志を募っていく事こ そ、現会員の使命と思い行動をしていきましょう。

 

新たな可能性への挑戦

 

 私たちが例年行っ ている事業の中には、通年開催をする事業が幾つか有りますが、その最たる事業は新庄雪まつりであります。毎年多くの来場者に溢れ、多くの協賛団体と支援団 体、そして地域住民によるボランティアの皆様より成り立つ事業です。歴史は深く本年で43回を迎える運びとなりました。先輩諸兄より引き継いだ事業を我が 子のように大事に育て上げ、そして40をも超える回数と成ることが出来ましたのも偏に地域住民の皆様のご理解と多くの関係諸団体の皆様のご協力ご賛同の賜 物と感謝を申し上げます。  さて、公益社団法人となり多くの事業が公益性を求められる中、私たちの諸事業に対しては大きな変革となりました。公益性の意味をしっかりと見つめ直し、 更に大胆な周知でもって事業を行う事、その結果より多くの公益性事業が誕生していきます。継続される事業はより進化を見せ、より具体的な手法で実践されて いきます。しかし時代は常に変化をし、今必要とされる問題が山積する中、継続事業を特別視し、今後新たに生まれるであろう事業を軽視することはなりませ ん。新たな事業に挑戦をするその力が今までもこれからも我等の原動力になってきた筈です。私達は自らの力で事業を生み地域に発信をして参りました。これか らも変わらずその思想を貫き、しっかりとした検証をした上で事業の方向を決めていかねばなりません。地域の皆様に必ずや必要とされる標を示せるよう考え行 動し実践をしていきましょう。それがJCなのです。

 

交流がもたらす意識開花

 

 2014年、 全国各地の同じ志を持つ仲間がこの地山形に集結を致します。6月ASPAC(国際青年会議所 アジア太平洋エリア会議)山形大会を皮切りに、9月には東北青年フォーラム酒田大会等、他では経験する事の無い貴重な経験と全国各地より参集するであろう 多くの同志たちと素晴らしい友情を深められる会議が本年開催されます。多くの市民県民を巻き込み公益性に富む大会へ私達が参加経験する事で新庄もがみの発 展にも繋がる多くの知識が必ず得られます。私たちの周年事業同様、積極果敢に取り組み新庄青年会議所らしさを多くの方々へ発信する又とない機会と捉え、多 くの仲間と共にこの大会へ参集し、山形青年会議所を初め近隣LOMへの支援、更にはこの山形県全体を見据えた地域興しの場としておもてなしの心を持って参 加をしていきましょう。また、7月には置賜長井の地にて第47回山形ブロック大会の開催、10月には日本青年会議所第63回全国大会が四国は松山の地で開 催されます。一昨年のブロック会員大会新庄大会を主管したことが記憶に新しいですが、より公益性のある大会へと進化を続ける会員大会であります。主管した 経験を活かししっかりとした目的を持ち参加をしていけば、新たな気付き、そして感動がそこに有るはずです。

 

むすびに

 

  「日本の青年会議所は 混沌という未知の可能性を切り拓き 個人の自立性と社会の公共性が 生き生きと協和する確かな時代を築くために 率先して行動する ことを宣言する」 多くの青年たちがこの地域の未来を考え行動を興して参りました。今新庄もがみがここに確かに存在し、これからもここに有り続けるのならば、世代を超えた同 志がこの地域を創ってきた事に誇りを持ち同じく郷土を愛し、そして次代へと残していかねばなりません。 私たちはこの時代に生きて、そしてこの地域に生きて行ける事に感謝をしよう。半世紀の節目を経た今、日々新たに自己を見つめ理解し、自信をもって行動しよ う。 未知の可能性を秘めた地域の未来のために。