所   信

 

 

公益社団法人 新庄青年会議所

 第61代理事長 矢作 有也

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

第1章 はじめに

 1964年に設立された新庄青年会議所は、本年で61年を迎えることができました。これも偏に新庄もがみ地域の明るい豊かな社会を実現するべく、先輩諸氏の皆様が「修練」「奉仕」「友情」の3信条のもと、絶えず情熱を燃やし続け、我々に創始の想いを紡いでいただいたからです。会を代表し深く感謝申し上げます。また地域行政の皆様、協力団体の皆様、そして地域の皆様に、ご理解とご協力を常日頃より頂戴しておりますことに心より御礼申し上げます。

 日本で299番目、山形県内で3番目に誕生した新庄青年会議所は61年間歩みを止めることなく時代に即した運動を展開するべく、青年が集い切磋琢磨し情熱に火を灯し行動を続けてまいりました。

 近年は、戦争などによる先行きの見えない世界情勢の中で、物価高騰や新型コロナウイルス感染症蔓延に起因する倒産件数の増加など、個々の企業においても大きな転換期を迎えておりますが、2025年、新庄市においては開府400年を迎え、歴史と文化を振り返り郷土愛を育む、新たな歩み出しが進められております。

 激動の時代だからこそ、今がチャンスと捉えより良くなる方法を模索し、仲間と支えあいながら切磋琢磨し、かつてない未来を切り開こうとする挑戦と行動が必要だと思います。新庄青年会議所は地域住民の皆様に「かっこいい」「新庄青年会議所があって良かった」と言われる存在意義を示し、地域住民の心と行動を変革していく運動を展開してまいります。メンバー一人ひとりが、新庄もがみ地域を牽引するリーダーとなる自覚と新たな一歩を踏み出す挑戦の心を常にもち、どんなに困難に苛まれても、泥くさく諦めずやりきる行動をつらぬき、その先に生まれる活気に溢れた新庄もがみ地域の未来を創造してまいりましょう。

 

第2章 共感を生む拡大の実践

 ネットワークの変化により、SNSやインターネット上のつながりを重要視するようになった近年、青年経済人が必要だと考える要素はなんでしょう。ネットワーキングの確立、リーダーシップスキルの向上、社会貢献、個人的な成長など必須事項は個々によって違うと思います。私は、青年会議所には望めばどの要望にも答えられる「機会」があると思っています。私が入会したのは2015年。当初の自分は自己的で入会したきっかけも縫製業の先輩と仲良くなりたい。ただそれだけの理由でした。しかし、入会後、事業を構築することで初めて知った

 新庄もがみ地域の伝統や歴史、自然豊かな景観や人の魅力にも出逢えました。今まで住み暮らしてきたまちのことを、こんなにも知らなかったことが恥ずかしく思えました。その後、新庄もがみ地域の未来を真剣に考え、常に前へ進もうと考え挑戦し行動をする先輩方や、同年代の仲間たちと切磋琢磨し過ごした日々が、私の他者に対する敬意と人を想う心を、そして地域を愛する想いを成長させてくれました。新庄青年会議所に入会したことが、私自身と家族の生涯において、かけがえのない財産となったことは言うまでもありません。どんなきっかけで入会しても、青年会議所での経験や体験は、間違いなく個々の財産になると信じています。だからこそ、まだ見ぬ候補者のためになると信じ、新庄青年会議所の魅力を伝え共感を得る会員拡大が必要です。

 そして、地域住民から共感をいただき、心を変革していく運動の展開を目指す我々にとっても、新たな同志との出逢いは必要不可欠です。まだ見ぬ候補者は個性、能力、そして新たな視点や知識、そして想いをもっています。個々の経験から生まれる想いや考え、そして実現したい未来を語り合うことでメンバー個々が醸成され、より地域に必要とされる運動につながり、多くの影響を地域に与えることができると思います。会員拡大は誰のために、何のために行うのかを、会員一人ひとりが理解し、この地域に今必要とされる情熱的な運動を展開してまいりましょう。

 

第3章 新庄もがみ地域の未来をともに描けるひとづくり

 新庄もがみ地域の年少人口(0~14歳)は1980年には人口の22.2%(9,534人)を占めておりましたが2015年には全人口の12.7%(4,659人)、将来統計では2045年には9%(2,064人)にまで減少する見込みとなっています。それに伴い、全国的にも小中学校の統合、2025年目標で部活動の地域移行など、地域の希望である子供たちを取り巻く環境が変化を余儀なくされています。私には5歳になる娘がいます。新庄もがみ地域が消滅可能性都市に数えられる現状の中、娘には人生の拠点となる選択肢として、新庄もがみ地域の魅力に触れる機会と人に触れる機会を惜しみなく届けたいと思っています。なぜなら、私がこの地域で生きていく決心をした背景には、子供の頃に経験した人の温かさや、魅了される自然や文化があったからです。まだ田んぼと畑だらけだった水路の近くを友人と走り回って危険な遊びをすれば、ご近所のおじいさんに「自分の力量をしれ」とお説教をされ、新庄まつりのお囃子に混ざれば、大人が踊るように叩く太鼓の音色と観衆を魅了する振る舞いに「こんな風になりたい」と憧れ、全生徒が必ず入らなければならなかった部活動では、学校の先生ではないコーチや監督に組織を学ぶとともに、友人たちと一つの目標に向かって切磋琢磨することの素晴らしさを教えていただきました。私は幸運なことに「ありがとうございます」と心から言える「かっこいい」「こんな人に将来なりたい」と想い描ける大人に出逢う機会がありました。

 持続可能な地域を創造する上で、未来を担う子供たちが「かっこいい」「目指したい」と想える大人との出逢いは必要不可欠です。我々、地域の大人が未来ある子供たちを牽引していることを自覚し、行政、企業、学校、他団体と連携し未来ある子供たちに夢や希望をこの地域に描いていけるような運動を展開してまいります。

 

第4章 人と人とが手を取り合うまちづくり

 昨年、私たちは事業を通して新庄もがみ地域の美しい自然や景観、そして魅力ある人に出逢い、歴史や文化に触れる機会をいただきました。その魅力ある新庄もがみ地域も昨年7月25日に発災した豪雨災害により今も尚、足を踏み入れることができない場所や復興が進んでいない地域、存続すら危ぶまれる集落もあります。経済が発展し多くの技術が生み出された現在でも「地震」「津波」「台風」「豪雨」「洪水」「火山噴火」などの自然災害を完全に防ぐことはできません。では安心して暮らして行けるまちとはどんなまちのなのでしょうか。私はどんな災害が起きても個々が冷静に判断し「なすべきことをなす」という意識をもっている地域だと思います。地域住民自らが当事者意識をもち、事前の備えや準備を怠らず自助を学び、周辺住民の皆様と発災時に向けたコミュニティや情報共有を行い、助け合いの精神を育む共助を理解し実行できる地域だと思います。

 私は語り尽くせない魅力をもつ新庄もがみ地域に魅了されています。だからこそ、このまちに住み暮らす方々とともに、地域の魅力を沢山の人たちに知っていただき後世まで紡いで行きたいと思っています。そのためには安心して暮らしていけるまちづくりが必要です。我々も共に住み暮らす地域住民として、個々が発災に向け自助を学び実行し、助け合いの精神を育み、人と人とが手をとりあう共助を学ぶ機会を提供し、どんな災害にも負けないまちづくり運動を展開してまいります。

 

第5章 タイムリーな広報活動と組織力強化

 SNSによる情報発信が個人や企業に大きな影響を与える昨今、新庄青年会議所の活動や運動をより多くの方々に届け共感していただくために、HPやSNSを利用して発信を続けてまいりました。しかし、今以上に興味や共感を住民の方々にもっていただくには、より積極的な広報活動が必要だと感じています。メンバー一人ひとりの大切な時間を無駄にしないよう、活動内容や運動に対する熱意や想いが伝播するタイムリーな広報と、戦略を立て多くの地域内外の人を巻き込める効果的な広報活動に取り組んでいくとともに、メンバー個々の魅力や職業にも着眼し、青年会議所ができる広報の価値を見出してまいります。

 そして、時代の変化に合わせ築き上げられた組織力をさらに強化していくために、育LOMを推進する組織として、子育て世代であることを会員一人ひとりが自覚し、子育てや仕事、JC活動を両立できる環境を個々の情報共有を重ね整えることで参画しやすい組織にしてまいります。

 

第6章 地域防災体制の強化

 近年、全国各地で自然災害が頻発しており、ここ新庄もがみ地域では昨年7月25日に河川の氾濫、土砂災害、道路の崩壊や浸水被害など甚大な被害が多発しました。近年、新庄青年会議所ではこうした有事に迅速に対応するために、発災した際の初動体制マニュアルを確立し、新庄もがみ地域の関係機関と意思疎通を行う協力体制を構築するとともに、各市町村の注意報に注視し情報を共有することで防災の当事者意識を高めてまいりました。しかし、災害が年々増え続ける中、メンバー一人ひとりが初動マニュアルを認知するとともに、地域機関との協力体制をより強化する必要があります。地域に必要とされる組織となるため全メンバーの当事者意識を醸成してまいります。

 

第7章 第54回新庄雪まつり

 今や新庄の冬の風物詩となりました新庄雪まつりも54回目を迎えます。ここまで長きにわたり紡いでこられた先輩諸氏の皆様、そして御支えいただいた関係諸団体の皆様に心より敬意を表します。昨年は歴史的な小雪の中、新庄もがみ地域の子供たちを笑顔にするために会場設営やイベント等、挑戦の連続でした。しかし、その挑戦は決して無駄にはなりません。悩み、意見をぶつけ合い、切磋琢磨した時間が私たちに新しい発見をさせてくれました。本年におきましても柔軟に状況を捉え、子供たちの笑顔が絶えない雪まつりを実践しなければなりません。創始の想いを胸に、新庄もがみ地域と雪の魅力が存分に味わえる事業を展開してまいります。

 

第8章 結びに

 地域に必要とされる人、子供たちに目標にされる人。それはどんな人なのでしょうか。私は挑戦し、行動している人、そしてどんな時も「笑っている」人だと思います。挑戦し行動すれば色々なことが起こると思います。失敗し、誰かにご迷惑をお掛けしご指導いただいたり、困難に直面し思考停止してしまうこともあると思います。そんな時「ここからだ」「まだ終わってない」とさらに一歩を踏む出せる勇気は誰しもがもっているわけもなく、どんな時でも笑顔でいることは、普通は出来ないのだと思います。でも、我々は地域の未来を紡ぐものとして、責任を自覚し、未来を切り開くリーダーに、ヒーローになりましょう。笑顔で挑戦し行動し歩み続ける者の背中は、例え泥だらけだとしても「かっこいい」に間違いありません。家族に、子供たちに、地域に胸を張って「かっこいいだろう」と言える大人を目指してまいりましょう。

 そして、その決意と同じくらい感謝を伝えましょう。我々が、挑戦し、行動できることは決して「当たり前」ではありません。御支えいただいている家族、会社、地域に言葉にして感謝を常に伝え、限りある時間をともに有意義な時間となるよう過ごしてまいりましょう。